9月11日、政府が「電波オークション」の導入を検討していることがわかりました。
このニュースは新聞メディアにおいて産経新聞でしか報道されていませんが、裏側になにが潜んでいるのでしょうか。
この問題について見ていきたいと思います。
電波法
まずは電波法について見ていきたいと思います。
この法律は、電波の公平かつ能率的な利用を確保することによって、公共の福祉を増進することを目的としてものです。
総務大臣の免許を受けたものだけが放送局を開設し、電波を利用して地上波放送を行うことができるとされています。
これが新規事業者の参入を妨げる既得権益となっているのです。
またこの電波利用料が破格となっています。
諸外国において電波利用料が数千億規模に対し、国内のテレビ局は数億円程度しか支払っていません。
ここにテレビ局が電波オークションを嫌い、報道しない理由があるようです。
ちなみに各テレビ局は新聞社の子会社となっているので、少ない事業体が既得権益を死守するという国内メディア全体の構造が報道偏向を生み出しています。
電波オークション
それでは電波オークションについて解説したいと思います。
電波オークションとは、周波数帯域の利用免許を競売で電気通信事業者に売却して事業を行わせるものです。
つまり電波にまつわる既得権益を取り壊し、すべての通信事業者が競売に参加でき、電波の購入が可能になるというものです。
ちなみに電波オークションの導入によって、金銭的にテレビ局が打撃を受けることはあまりあないそうです。
それは、テレビ局が支配しているUHF帯の電波を政府が買い取り、それを競売にかけるからです。
よって政府もテレビ局も両方儲かる仕組みになっています。
電波利用料の実態
実は電波利用料はテレビ局だけではなく、携帯電話事業者も支払っています。
しかし政府の電波利用料収入の約70%が携帯電話事業者であるのに対しテレビ局はたったの約7%となっています。
(ちなみに電波利用料は携帯電話1台につき年200円かかっています)
その電波利用料について、国の使用用途については以下の通りになっております。
平成21年から28年では半分近くが地デジ対策費に使われているように、テレビ局向けの歳出となっています。
つまり携帯電話利用者が支払っている携帯電話利用料がテレビ局を支えているという構図になってしまっているのです。
なんともおかしな話でしょう。
メディアと政府の関係
上記から、テレビ局を主とするメディアが自らの電波利用にまつわる既得権益を守るために政府に対して協力する理由はわかります。
では政府はどうしてテレビ局の既得権益を保証しているのでしょうか。
これは放送法に基づいているようです。
放送法は以下のように定められています。
・考案及び善良な風俗を害しないこと
・政治的に公平であること
・報道は事実をまげないですること
・意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること
つまり政府としては、テレビ局に「放送法を守って、政治的に公平な報道をしなさい」としています。
放送法によって報道内容を取り締まる代わりに、テレビの利権を守っているという癒着関係になっているのです。
政府の電波オークション検討理由
ではどうして政府は電波オークション導入の検討に至ったのでしょうか。
2つ理由が考えられます。
①インターネットの普及
インターネットの普及によって電波不足の事態が巻き起こっています。
このことによって電波の稀少性が高まり、本格的に対策が求められているからだと考えられます。
②財源確保
消費増税など政府は新たな財源確保に奔走しています。
新たな財源の1つとして電波利用料における既得権益へメスを入れる判断をしたのではないかと考えられます。
時代の変化によって、政府もこの電波利用料への対応も変化させなければならなくなってしまったのでしょう。
テレビ局が電波オークションを嫌う理由
上記にもあるように、金銭的にテレビ局が打撃を受けることはありません。
ではどうして電波オークションを嫌うのでしょうか。
電波オークション導入は政府がテレビ局の既得権益を保証しないことを意味するでしょう。
おそらく電波オークション導入によって自由競争になり、大手キャリア3社がより大きな影響力を持つこととなるでしょう。
この自由競争を避けたいテレビ局は、政府によって守られていた既得権益を絶対に死守したいところでしょう。
電波オークション導入とこれから
最後に電波オークションによって起こりうることを見ていきましょう。
メリットとしては、政府の財源拡充、新規マスメディアの登場による競争原理の発動などが考えられます。
デメリットとしては、資金力のある事業者だけがチャンスを掴む構造になりかねない点が考えられます。
ちなみに各先進国では電波オークションの導入によってメリットのほうが圧倒的に大きかったという結論に至っているようです。
この問題については、報道の数が少ないため注意して見ていく必要があると共に、正しく背景を知っていく必要があるでしょう。
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