業界再編が進む石油業界、今年4月にJXホールディングスと東燃ゼネラル石油は経営統合することで国内ガソリン販売シェアを50%超となりました。
そんな中、出光創業家が昭和シェルとの合併に反対していることが波紋を呼んでいます。
(ちなみに出光の創業者はあの「海賊とよばれた男」のモデルにもなった出光佐三です。)
今日は出光の創業家との対立問題について触れてみたいと思います。
<まず石油会社の仕事について>
石油会社は、
・原油の開発、生産
・原油の輸入、精製、販売
・石油製品の製造
・石油販売
など石油にまつわる事業を幅広く行っています。
近年は加工品や再生可能エネルギーの開発など下流の事業も行う会社が多くなっています。
<石油業界の情勢>
この業界は原油価格によって大きく左右されます。
まずはこちらをご覧ください。
2014年から原油価格が急落していることがわかります。
この頃なにが起こったのかを見ていきます。
①シェールガスの台頭
新たなエネルギーとしてのシェールガスが普及しました。
それ以前は採掘にコストがかかるため期待されていなかったシェールガスですが、技術的なブレークスルーによってブームが沸き起こりました。
その結果、原油の需要が下がり価格下落の一因となったと考えられます。
②原油減産に応じない
サウジアラビアがOPECによって取り決められた減産に応じなかった点が下落の一因と考えられます。
減産しなければ供給過多になり価格は安くなります。
③イランへの経済制裁解除
イランが核協議に合意したことによって経済制裁が解除されました。
それによって原油生産を行い供給量増加に加担していると考えられます。
このように石油業界は地政学リスクに大きく左右される産業となっています。
<出光と昭和シェル合併と創業家の反対>
上記のように原油価格の下落によって石油業界は大きな打撃を受けています。
その結果、業界再編が起こりM&Aによって強固な会社の体制を作る流れができました。
出光も例に漏れず昭和シェルとの合併の話が持ち上がりました。
しかし創業家の反対によって1年以上話が進まない状態が続いています。
(創業家の持ち株比率が30%以上なので合意が得られない)
反対している理由について、
「消費者の利益を第一に考えて事業を行い、事業を通じて社会に貢献することを目指してきたが、この合併は自社の利益追求のため理念に反する」
というものでした。
会社が存続しなければ話にならないので、老害色の強い意見のように感じます。
ちなみに先月、会社側は公募増資を行い創業家の持株比率を下げる表明を出しましたが、創業家の公募増資差し止め請求をクリアしていく必要があります。
合併への道のりはまだまだ続きそうですね。
<合併の先に>
出光は昭和シェルと合併できれば問題は解決するのだろうか?
その先に待ち構えているのは、再生可能エネルギーの需要の伸び、各国の環境対策による石油需要の下落、代替エネルギーの登場などまだまだ多くの課題が待っています。
合併問題で足を止めてるヒマはないはず、新たな事業展開なしでは出光、更には石油業界の未来は見えてこないでしょう。
この現状を海賊とよばれた男はどう思うか、聞いてみたいものですね。
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