GEが歩む「選択と集中」

GEが事業を電力、航空機、ヘルスケアの3分野に絞り込む方針を発表しました。


コングロマリットの代表として君臨していたGEの歴史は「選択と集中」の連続のようです。
その変遷について見ていきたいと思います。



▼ジャック・ウェルチ時代

GEの企業文化を強固に確立したのはこのジャック・ウェルチと言えるでしょう。


彼は就任時の1981年に真っ先に行ったのは組織構造の改革です。

まずは多くのリストラと権限の分散化も進め、脱官僚化を進めていきます。


次に事業の選択と集中です。

フォーカスしたのは金融ビジネスです。つまり脱・製造業を行っていったのです。

証券会社やリース会社、消費者金融会社を買収して金融事業を強化していきます。

さらに大手テレビ放送局も買収します。


こうした結果、GEの売上の4割以上が非製造業となり、世界的なコングロマリットを完成させていきます。



▼ジェフ・イメルト時代

2001年にジャック・ウェルチのあとを継いだのが、ジェフ・イメルトです。


彼の時代にはリーマン・ショックが襲います。

そのとき彼がとった判断は、脱・金融です。

本来の中核事業である製造業に回帰、選択と集中を行います。


更に2011年に提唱したのが「インダストリアル・インターネット」です。

これはIoTをGEのビジネスに導入するという方針です。


つまりGEの既存事業である発電機、航空機エンジンなどをIoT化して、そこから得られたデータを解析をすることで運用効率向上の提案などにつなげていこうという方針です。

これが意味することは、金融業からの潔い決別とIoTへの選択と集中です。

また「事業経営」のみならず、「企業文化」「組織運営」も含めた三位一体の刷新を成し遂げます。

「機械語を話す少年」という企業CMにも目指す姿が集約されています。



▼新たな産業革命とGEのこれから

それまで産業の主役だったGEですが、大きな環境の変化が待っていました。

第四次産業が起こりグーグル、アマゾン、フェイスブックを中心とする西海岸の企業が台頭し始めます。

これらのIT巨人がそれぞれのプラットフォームにユーザーを取り込んでいきます。

この勝者総取りの高収益なビジネスに市場の評価が集まっていきます。


このようにIT化が進む中、GEはIoT事業においてうまくいったとは言えない状況にあります。

そこで先日発表したのはマイクロソフトやアップルといったITにおける巨人達との連携を強化することです。


GEは改めて製造業に大きく軸足を戻して、IoT時代を切り開いていこうとしています。

日本の製造業もこの潮流から遅れてはいけません。

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